ANA、2020年6月1日から2020年7月31日購入分までの燃油サーチャージが約3年ぶりに無料に

ANAは、航空燃料基準価格が規定を下回ったため、2020年6月1日から2020年7月31日購入分までの燃油サーチャージを無料にすると発表しました。

燃油サーチャージとは?

燃油サーチャージとは、原油価格の価格変動リスクを背景に、航空会社が運賃とは別に乗客から徴収している追加料金です。日系航空会社で国際線を利用する際には、乗客は規定運賃と諸税に加えて、この燃油サーチャージを支払う必要があります。

燃油サーチャージの適用は航空会社次第

日系航空会社であれば、燃油サーチャージは国内線路線にはかかりません。また海外の航空会社の中には、競争の激しい路線に対して燃油サーチャージを免除しているところもあるようです。近年台頭してきた格安航空会社のLCCでは、燃油サーチャージの徴収を行っていないところが多くあります。あくまで、燃油サーチャージを徴収するかどうかは航空会社の判断ということです。

燃油サーチャージの価格はどのように決まるのか?

ANAやJALで適用される燃油サーチャージは、原油価格の価格変動リスクを吸収するために作られた制度のため、航空燃料価格をもとに自動的に決定されます。下記の表の「平均値算出対象期間」における航空燃料価格の平均を算出し、その金額に応じた燃油サーチャージの金額が適用額発表時期に発表されます。

今回の2020年6月1日から2020年7月31日までの燃油サーチャージ(0円)は、2020年2-3月の2ヶ月間の航空燃料価格の平均値から算出されました。

発券日 燃油サーチャージ発表時期 平均値算出対象期間
4月~5月 2月中旬~下旬頃 12月~1月の2ヶ月平均値
6月~7月 4月中旬~下旬頃 2月~3月の2ヶ月平均値
8月~9月 6月中旬~下旬頃 4月~5月の2ヶ月平均値
10月~11月 8月中旬~下旬頃 6月~7月の2ヶ月平均値
12月~1月 10月中旬~下旬頃 8月~9月の2ヶ月平均値
2月~3月 12月中旬~下旬頃 10月~11月の2ヶ月平均値
燃油特別付加運賃の改定について

実際に我々乗客に燃油サーチャージとして徴収される金額は上記の航空燃料平均価格をもとに決定され、その金額はあらかじめ公開されています

航空燃料平均価格 6,000円以上
7,000円未満
7,000円以上
8,000円未満
8,000円以上
9,000円未満
9,000円以上
10,000円未満
10,000円以上
11,000円未満
11,000円以上
12,000円未満
12,000円以上
13,000円未満
13,000円以上
14,000円未満
14,000円以上
15,000円未満
日本=北米(ハワイ除く)・欧州・中東・オセアニア 3,500 7,000 10,500 14,000 17,500 21,000 25,000 29,000 33,000
日本=ハワイ・インド・インドネシア 2,000 4,000 6,000 8,500 11,000 13,500 16,000 18,500 21,000
日本=タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー・カンボジア 1,500 3,000 4,500 6,500 8,500 10,500 13,000 15,500 18,000
日本=ベトナム・グアム・フィリピン 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,500 8,000 9,500 11,000
日本=東アジア(韓国を除く) 500 1,500 2,500 3,500 4,500 5,500 7,000 8,500 10,000
日本=韓国・ロシア(ウラジオストク) 200 300 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500
燃油特別付加運賃の改定について

ANAやJALなどの日系航空会社と、主要アジア系航空会社は、シンガポールケロシン市場という取引所の航空燃料価格が燃油サーチャージの基準となっています。燃油サーチャージはこの取引所の航空燃料平均価格が、1バレル6,000円以上の場合に適用され、6,000円未満の場合は燃油サーチャージは適用されません。

現在、日系航空会社のANAとJALは、燃油サーチャージを適用する条件、徴収金額ともに同一の設定となっており、どちらの航空会社を利用した方がお得ということはないようです

航空燃料価格が燃油サーチャージに反映されるには半年かかる

2020年6月発券からの燃油サーチャージの基準となった航空燃料価格は1-2月の平均です。このことからもわかるとおり、航空燃料価格が実際に私たちの航空運賃に反映されるには半年のタイムラグがあることになります。

現在の航空燃料価格はいくらになったのか?

では、現在の航空燃料価格は一体いくらになったのでしょうか?

グラフを見ていただくと分かる通り、今年に入り原油価格が大幅に下落しています。2020年6月発券分からの燃油サーチャージの基準となった2020年1-2月の航空燃料平均価格は約5500円。現在はそれよりさらに下落しているため、2020年7-8月も燃油サーチャージ無料が維持されると予測されています。

過去に原因サーチャージが無料になったことがあったのか?

過去には、2016年4月1日から10ヶ月後の2017年1月31日発券分まで燃油サーチャージが無料となった期間がありました。今回は約3年ぶりの燃油サーチャージ徴収停止となります。

どの程度お得になったのか?

2020年4月現在、ANAが日本発着便で徴収している燃油サーチャージの価格は次の通りです(前述の通りJALも同様です)。

日本発着路線 価格
欧州・北米(ハワイ以外)・中東・オセアニア 10,500円
ハワイ・インド・インドネシア 6,000円
タイ・シンガポール・マレーシア・ミャンマー・カンボジア 4,500円
ベトナム・グアム・フィリピン 3,000円
東アジア(韓国を除く) 2,500円
韓国・ロシア(ウラジオストク) 500円
2020年4月1日から2020年5月31日購入分まで

たとえば、アメリカ本土やヨーロッパ便の場合は、往復で2万円、ハワイまでであれば1万2000円ほどです。今回燃油サーチャージが無料になることで、たとえば家族4人でヨーロッパを往復すると8万円、ハワイまででも約5万円ほどが浮くことになります。

燃油サーチャージは完全一律

ANA、JALの場合、座席を利用するすべての乗客に燃油サーチャージが等しく発生します。子供料金の設定はありませんので、大人と同額が請求されます。なお、座席を利用しない子供には燃油サーチャージは請求されません。

また、10万円のエコノミークラスのチケットでも、200万円のファーストクラスのチケットでも、請求される金額は一律です。搭乗クラスやチケットの価格も関係ありません

日系航空会社は特典航空券でも燃油サーチャージが徴収される

ANA、JALの場合、特典航空券であっても燃油サーチャージが徴収されます。航空券代金が無料といっても諸税や燃油サーチャージなどで比較的高額の支払いが発生したという方も多いかもしれません。

一方で海外の航空会社によっては、特典航空券であれば燃油サーチャージを付加しないところも存在します。たとえば、アメリカ系の航空会社は、現在特典航空券であれば燃油サーチャージを徴収していません。

ユナイテッド航空のマイレージでANA便を予約すると燃油サーチャージはかからない

燃油サーチャージがかかるのかどうかは、予約した航空会社によって決定します。利用する航空会社ではありません。したがって、ユナイテッド航空のマイルを利用してANA便を予約した場合や、アメリカン航空を利用してJAL便を予約した場合は燃油サーチャージがかからないのです。日本ではユナイテッド航空やアメリカン航空のマイレージを溜めている方はそれほど多くないと思いますが、1つの裏技として覚えておくと良いでしょう。

燃油サーチャージは搭乗日ではなく航空券購入日で決まる

燃油サーチャージは航空券の購入日によって決定されます。搭乗日ではありません。例えば、2020年年末年始の航空券を2020年5月31日に購入すれば現在の燃油サーチャージが適用されますが、翌日の2020年6月1日に購入すれば燃油サーチャージはかかりません。

例えば今回の場合、新型コロナウィルスの影響で、航空券を新規に購入することはかなり少ないと思いますが、今年の年末年始や、来年のゴールデンウィーク等の航空券を予約しようと思っている方は、6月1日以降の方が安く購入できる可能性が高くなります。

航空券の価格変動に注意

しかし一方で、燃油サーチャージが改定された影響で一斉に航空券の購入が増えてしまうと、せっかく燃油サーチャージが無料になっても、航空券自体の価格が上がってしまう可能性もあり、一概にどちらがお得とは言えません。

現状では新型コロナウイルスの影響で、航空券価格が上がる要素はほぼありませんが、上記は一般論としての意見です。

2020年4月現在、新型コロナウィルスの影響で航空業界は壊滅的な打撃を受けています。早くこの状況打開されて、また旅人たちが自由に旅に戻れることを心から祈りたいと思います。

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